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1992年、ブロードウェイ復活!! |
プロローグ
1992年、2月19日、ブロードウェイは近年稀にみる祝祭ムードで溢れ返っていました。曰く、「ブロードウェイがブロードウェイを取り戻した日」と。舞台はかの名作『コーラスライン』が上演されていたシュバート劇場。それはある一つの記念すべきミュージカルが開幕した日のことです。
その作品の名は『クレイジー・フォー・ユー』。「A New Gershwin musical
comedy」と銘うたれたこの作品は、第一期のミュージカル黄金期(30年代)の作品『ガール・クレイジー』をベースとしながらも、新しい脚本とスピーディな演出、そしてかの伝説的作曲家ジョージ・ガーシュウィンのスタンダードナンバーを使った歌とダンスが全篇にちりばめられた、まったく新しい作品として登場しました。日本でも翻訳上演されているので、知っている方も多いと思います。
80年代のブロードウェイはヒット作に恵まれず、『キャッツ』や『レ・ミゼラブル』
『オペラ座の怪人』といったロンドン・ミュージカルに押された冬の時代でした。その中で、作曲ジョージ・ガーシュウィン、作詞アイラ・ガーシュウィン、演出マイク・オクレント、振付スーザン・ストローマンという最高のクリエイターで創り上げられたこの典型的ミュージカル・コメディはブロードウェイの伝統と誇りを見事に現代に蘇らせた作品として観客のみならず、演劇関係者たちからも熱狂的に受け入れられたのでした。その魅力はとても一言では言い表せません。ガーシュウィンの音楽(←もちろんだ)、“ボーイ・ミーツ・ガール”とハッピーエンドのラブ・コメディ、タップダンスを中心にしたクリエイティブな振付、歌とダンスをテンポよくまとめた見事な演出、衣装、照明、舞台装置、どれをとっても文句の付けようのない仕上がりです。それぞれの分野のプロがみせた職人気質な仕事って言うのか、はたまた芸術家の魂の昇華と言うべきか(職人的誇りでしょ、ブロードウェイは!!)、その年のTony賞を総なめとも言える結果からも、この作品のスゴ味がよく解ります。
しかし、この『クレイジー・フォー・ユー』という作品が放つ不可思議な魅力はただそれだけでない気がします。スタッフ、出演者が一丸となって創り上げた舞台、そこに熱狂した人々は何を見、何を感じたのでしょうか。
それは古き良きアメリカのモラル、開拓者精神「フロンティア・スピリッツ」だと私は思います。この作品自体も田舎の寂れた街の再興という物語と主人公の恋物語が平行して描かれています。障害を乗り越え、想いを寄せる人の為に前に突き進む主人公、戸惑いながらもその情熱に次第に心を開くヒロイン、それぞれの思いが交錯しつつ、荒れ果てた劇場にかつての賑わいを取り戻すべく試行錯誤を重ねる一癖もふた癖もある登場人物たち、そこにあるのはミュージカル本来の庶民的人間賛歌、そして積極的人生の謳歌です。そしてその精神は『クレイジー・フォー・ユー』に携わったクリエイターたちの姿勢であり、情熱にそのまま重なります。現状を打破し前に進んでいく精神がこの作品を創り上げ、ブロードウェイにブロードウェイを取り戻したのです(言い回しに過剰に保守的な一面があるにしても)。小説や映画、舞台など庶民芸術と呼べるこれらのものは人間を描き出す芸術です。その意味で、舞台作品が伝えるべき本来のテーマをシンプルにかつ一流の歌とダンスと笑いでまとめたこの作品は、まさにブロードウェイ精神の結晶であると言えるでしょう。
エピローグ
1996年、1月7日、ブロードウェイは大雪。。。人通りもいつもより少なめ。。。しかしその劇場では満員の観客がスタンディングで惜しみない拍手を舞台に送っていました。暖かい拍手につつまれながら舞台は幕を閉じます。そのスタンディングの中にある日本人が一人。彼はそれまで13回その劇場に足を運び、笑い、感動し、そして14回目のその日、他の観客とともに最後の舞台に長い拍手を送ります。自分もこんな作品を創れたらどんなに素晴らしいだろうか、と心のそこから思いつつ、もう二度と観れないであろう、その舞台の幕が下りきるのを1階席の後ろから見とどけました。そして客席の明かりがつきます。しかしそれでも、その日の観客の拍手は鳴り止むことはありませんでした。 |
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データベース |
| Crazy For You Shubet Theater (2/19/1992 - 1/7/1996) |
| ■プレビュー |
1992年1月31日 |
トータル・プレビュー 10回 |
| ■オープニング |
1992年2月19日 |
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| ■クロージング |
1996年1月7日 |
トータル・パフォーマンス 1622回 |
| ■カテゴリー |
ミュージカル・コメディ・オリジナル・ブロードウェイ |
| オリジナル・ブロードウェイプロダクション・クレジット |
作曲 ジョージ・ガーシュウィン 作詞 アイラ・ガーシュウィン
脚本 ケン・ルドウィック
演出 マイク・オクレント
振付 スーザン・ストローマン
舞台装置 ロビン・ワーグナー
衣装デザイン ウィリアム・アイビー・ロング
照明デザイン ポール・ガロ
制作・総指揮 シュバート・オーガニゼイション
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