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まことのこだわりダンスあれこれ >> 其のさん 1992年、ブロードウェイ復活!! その2
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1992年、ブロードウェイ復活!! その2
 1992年のブロードウェイは新作、リバイバルともに充実した作品が上演された年でもありました。ここでは2つのミュージカルについてお話したいと思います。一つは新作ミュージカル『ジェリーズ・ラスト・ジャム』。グレゴリー・ハインズ主演で、ジャズ初期に活躍した作曲家ジェリー・ロール・モートンを扱ったブラック・ミュージカル。もう一つはリバイバル作品の『ガイズ・アンド・ドールズ』。ブロードウェイでは4回目のリバイバルとなる名作ミュージカル・コメディです。どちらも歌とダンスが盛りだくさんのいかにもブロードウェイ的作品でありますが、それでいて前出『クレイジー・フォー・ユー』とあわせて、3作品がそれぞれまったく違う方向性をもった仕上がりになっております。奇しくも同時期にこれらまったく手法のちがう作品が狭い劇場外の一角で上演されていたところにブロードウェイの面白さと層の厚さを感じてしまいます。

1992年、タップダンスの饗宴!!
 『ジェリーズ・ラスト・ジャム』は20世紀初頭の黒人作曲家ジェリー・ロール・モートンの人生を彼自身の音楽で綴った伝記的ミュージカルで、主人公の人生を通してアメリカの黒人たちの悲劇と葛藤を描いた野心作です。ショウの目玉は黒人たちによるパワフルな歌とダンス、そしてなんといっても主人公演じるグレゴリー・ハインズの円熟したタップダンスですが、それら音楽的シーンが観客を楽しませるだけでなく、しっかりと作品のテーマを表現する手段として効果的に用いられているところに、演出家、ジョージ・C・ウルフの手腕を感じます。観客はショウの楽しさを味わいつつアメリカ黒人の歴史を学び考えさせられるのです。このコンセプトは主人公の少年時代を演じたセヴィオン・グローバーとジョージ・C・ウルフ演出の『ブリング・イン・ダ・ノイズ、ブリング・イン・ダ・ファンク』に受け継がれていくことになります。重いテーマを思いっきり楽しい歌とダンスで表現できる、ミュージカルならではの可能性を最大限引き出した作品と言えるでしょう。同じタップダンスをメインした構成の『クレイジー・フォー・ユー』と目指している方向は明らかに違います。ブロードウェイの古典に則り、誰もが肩肘はらずに楽しめる「完全なミュージカル・コメディ」に徹した『クレイジー〜』のタップ、かたやタップを黒人のアイデンティの表現として用いた『ジェリーズ〜』、それは同じタップでありながらまったく別の舞踊表現と言えます。そこにはタップに対する捉え方の相違、そして人種間の歴史的な問題が内包されているのは現実なのですが、しかし、どちらの表現もそれぞれの演出コンセプトのなかでその存在意義をしっかりと主張していればこそ、作品のなかで輝きを放ち観客は「舞台」を楽しむことができるのです。奇しくも同じ年に「タップ」を取り扱ったミュージカルが幕を開け、そしてまったく違う個性をもちながらも、それぞれが一つの作品として高いクオリティを持って存在できること、そこがブロードウェイのブロードウェイたるところだと強く感じます。プロフェッショナルなミュージカルの創り手として正々堂々と勝負してくれればこそ、観客は作品を2倍楽しめる訳ですから。

1992年、「リバイバル」 対 「リメイク」
 『ガイズ アンド ドールズ』のオリジナルの初演は1950年。デイモン・アニアンの小説をベースにブロードウェイ界隈にたむろする男と女の人間模様をコミカルに描いて大ヒットのロングランとなりました。今回(1992年版)のリバイバルは初演から通算4回目の上演となりブロードウェイの歴史的にみても人気演目と言うことになります。物語は2組の男女、ギャンブラー2人と救世軍のシスター、キャバレーのクラブ歌手の間でのラブ・コメデイ、それに一癖もふた癖もある魅力的なキャラクターたちが脇をかため、いかにも都会的な“おとぎ話”としてまとめられております。作詞、作曲のフランク・レッサーは生粋のニューヨークっ子で、都会的でありながらどこか庶民的な親しみのある曲をいくつも提供し、それに脚本のジョー・スウェアリングとエイブ・バロウズがおかしくてちょっと哀愁のある「大人のコメディ」を書き上げました。
 さて、1992年版のリバイバル、演出ジェリー・ザックス、振付クリストファー・チャドマンの手によって蘇った舞台は脚本、音楽をオリジナルに忠実に、原作の持つラブ・ロマンスと庶民の強さ、可愛らしさを見事なコメディに仕立てております。『クレイジー・フォー・ユー』がガーシュウィンの音楽を使って、オーセンテックでありながら「新作」として創られた舞台であるのに対し、正当なリバイバル上演を目指したこちらの舞台。どちらもブロードウェイ伝統の典型的なハッピーエンドのミュージカル・コメディ、即存の楽曲を使用しながらも、それぞれのコンセプト、手法のなかで現代に蘇ったブロードウェイの「財産」と言えるでしょう。先人達の「仕事」を新たな感性で「自分たちの仕事」とし現代の観客を楽しませる、「リバイバル」であっても「リメイク」であっても目指すところは同じです。「財産」にあぐらをかいてしまったら面白いものなどそこから生まれてくるハズもなく、やはり大切なのは創り手の「今」であり「個性」、そして「挑戦」する姿勢なのでしょう。そういう意味でこの2作品は好対照でありながらまったく同じ作品とも言えます。そしてこれら2作品も新たなブロードウェイの「財産」として受け継がれていくことでしょう。
 最後にダンサー的に気になるポイント。この1992年版『ガイズ〜』の振付、クリストファー・チャドマンもまたこの作品の中でひとつの挑戦をしております。それはダンスの振付において「ジャック・コール・スタイル」の再現!!ということです。彼はボブ・フォッシーのダンサーとして数多くの舞台に出演した後、振付に活動を転じます。そしてこの作品でボブ・フォッシーの先生に当たるジャック・コールのダンスに挑戦したのです。オリジナルの振付、マイケル・キッドはバレエ出身の振付家でアクロバテックな素晴らしいダンスを創造しましたが、彼もまたそれに勝るとも劣らないエネルギシュなダンスをこの作品のなかで生み出しております。それはジャック・コールであり、ボブ・フォッシーであり、クリス自身でもあり、まさにシアターダンスにおける「ジャズ」の面目躍如たるところ!!惜しくもトニー賞は逃しましたが(『クレイジー〜』のスーザン・ストローマンが受賞)ここにもひとつ「受け継がれる伝統」を感じます。素晴らしい歴史をブロードウェイという場で体験できた自分を本当に幸せに思うと同時に、自分も「挑戦」していくぞ!!という勇気が湧いてきます!!がんばろう!!

データベース
   Jelly's Last Jam  Virginia Theater (4/26/1992 - 9/5/1993)
     ■プレビュー 1992年4月1日 トータル・プレビュー  25回
     ■オープニング 1992年4月26日
     ■クロージング 1993年9月5日 トータル・パフォーマンス  596回
     ■カテゴリー ミュージカル・オリジナル・ブロードウェイ
   オリジナル・ブロードウェイプロダクション・クレジット
     作曲 ジェリー・ロール・モートン  作詞 スーザン・バークンヘッド
     脚本 ジョージ・C・ウルフ
     演出 ジョージ・C・ウルフ
     タップ振付 グレゴリー・ハインズ、テッド・レヴィ 振付 ホープ・クラーク
     舞台装置 ロビン・ワーグナー
     衣装デザイン トニー・レズリー・ジェームズ
     照明デザイン ジュールズ・フィッシャー
     制作・総指揮  ジュジャムシン・シアターズ

   Guys and Dolls  Martin Beck Theater (4/14/1992 - 1/8/1995)
     ■プレビュー 1992年3月16日 トータル・プレビュー  33回
     ■オープニング 1992年4月14日
     ■クロージング 1995年1月8日 トータル・パフォーマンス  1143回
     ■カテゴリー ミュージカル・コメディ・リバイバル・ブロードウェイ
   オリジナル・ブロードウェイプロダクション・クレジット
     原作 デイモン・ラニアン
     作曲 フランク・レッサー  作詞 フランク・レッサー
     脚本 ジョー・スウェアリング、エイブ・バロウズ
     演出 ジェリー・ザックス
     振付 クリストファー・チャドマン
     舞台装置 トニー・ウォルトン
     衣装デザイン ウィリアム・アイビー・ロング
     照明デザイン ポール・ガロ
     制作・総指揮  ジュジャムシン・シアターズ

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